ダムの放水で、洪水と死者が発生。これ天災?人災?
- マニュアルはいつ作られたのですか?何年前に作られて、見直しはされてますか?
- マニュアルが作られてから、下流の河川の最大許容流量は変わってませんか?
- それぞれのダムのマニュアルはあっても、同じ河川の複数のダムが同時に放水するときの制限はあるのでしょうか?連携したマニュアルになっているかの質問です。
- その川の土質による、河川の堆積はどのように、考慮されているのか?また、堆積具合は、毎年測定されているのか?この堆積具合で、放水量が決まるはずです。
- 市に対しての、避難勧告は、複数の手段で、複数の市の職員に伝わるようになっているのでしょうか?
- 洪水の発生の予測をしていたそうですが、ダムが一時にどのくらい放水すると、どの洪水予測と、どの位の死者の見積もり、家屋の被害のシミュレーションはあるのでしょうか?
- もし、被害の程度のシミュレーションがあるのであれば、それは、市や、市民に周知徹底していたのでしょうか?
- 大量の放水量と、被害規模については、かなりの確率で、シミュレーションが可能のはずです。被害は出るけど、被害の程度はわからない、事前に避難すれば、死者は出ないにしても、家屋は担いで逃げるわけにはいきません。家屋の被害は、放水量と、浸水の高さで凡そ見積もることができるはずです。
- ダムの貯水量は、ダムの大きさよって決まりますが、ダムも堆積土のために、年々、貯水量が減少していきます。ダムの貯水量は、毎年、測定しているのでしょうか?すなわち堆積土の浚渫と流入堆積土の量の管理はマニュアルにあるのでしょうか?
- ダムの貯水量が一杯になって、ダムの上からオーバーフローする状態(流入量と放水量が同じ状態)では、ダムの強度は耐えきれないのでしょうか?耐えきれないとすれば、貯水量の何割、もしくは、強度危険レベル(ダムの崩壊)はダムの貯水側の壁に目立つようなライン(例えば赤線で)が表示されているのでしょうか?
「戸が開かん」。途切れ途切れの電話の声は、不安そうだった。「そっちに行くけんね!」。愛媛県西予市野村町地区の小玉和矢さん(33)は、7日午前6時半ごろ、近くの祖母、ユリ子さん(81)に告げた。それが、最後の会話になった。
この日朝、同地区中心部を流れる肱(ひじ)川(かわ)があふれ、ユリ子さんら59~82歳の男女5人が死亡、約650戸が浸水した。複数の住民によると、午前6時半ごろから川は一気に増水。津波のような濁流が押し寄せ、同7時半ごろには住宅の屋根まで水が及んだ。
気象庁によると、このときまでの24時間雨量は同市で観測史上最大の347ミリ。約3キロ上流の野村ダム(総貯水容量1600万立方メートル)は、午前6時20分から、緊急的に流入量とほぼ同量を放流する「異常洪水時防災操作」を開始。その水量は、直前の毎秒250立方メートルから一時、最大7倍近くに達した。
「時間を巻き戻してほしい」。泥まみれの自宅を前に和矢さんは「何のためのダムなのか。小出しにするとか、もっとやり方があったのでは」と怒りを口にした。
地区の約5100人に避難指示が出たのは、7日午前5時10分。市関係者によると、その約3時間前の午前2時半ごろ、ダムの管理所長から市役所野村支所長に「7時45分に過去最大の毎秒1000立方メートルを放水する」と通告があったという。国は最初の連絡で「6時50分に放水開始予定」と告げたとし、双方に食い違いが出ているが、国の放流時刻の前倒し連絡などもあり、市の避難指示は5時10分に早まった。
市は避難指示後に計3回、各戸に配置されている防災無線と屋外放送で住民に避難を呼びかけた。だが、ダムの放流を知らせるサイレンや放送は雨音でかき消され、無線は呼びかけ続ける形ではなく、20~30分おきの計3回。気付かなかった住民もおり、消防団は戸別訪問で地区を回った。支所の担当者は「指示のタイミングには最善を尽くした」と語る。だが、地元ではダムの放流が適切でなく、人災だったのではとの疑念が渦巻く。
ダムを所管する国土交通省治水課は「避難指示が出てから操作までの70分間、川への流量も少なく道路への浸水もなかった。避難行動に貢献できた」と回答。四国地方整備局の長尾純二河川調査官は「ダムの容量を空けて備えたが、予測を上回る雨だった。規則に基づいて適切に運用した」と説明する。
今回、国所管の治水機能を持つダム558カ所のうち、約4割の213カ所で放流量を調節した。うち、県内の鹿野川ダムなど8カ所で野村ダムと同じ緊急放流がなされた。昨年までの10年間に全国で40回しかないが、広域で8カ所もの同時実施は極めて異例だ。
県内を13日に視察した安倍晋三首相は「ルールに沿って対応したと報告を受けた」としながら、「さまざまな声があり、徹底的に検証する」とも述べた。
京都大防災研究所の角哲也教授(河川工学)は、予測を上回る降水時のダム操作の難しさを「ちょうど良く運用するのは神業」と表現。「現場の切迫感を、いかに早く住民に伝え、避難行動につなげてもらうかが大事」とし、非常時にどう動くのか日ごろから想定しておく重要性を訴える。
自宅が2階まで浸水し、屋根に上って助かった富城純子さん(56)は「『ダム様』がどうにかしてくれると安心しよった。避難する側もさせる側にも課題がたくさんあると感じた。犠牲者が出てしまい、教訓にして、次につなげないといけん」と話した。【山崎征克、真野敏幸、藤河匠、中川祐一】
ダムから大量放流、被害拡大=大雨で増水、基準6倍超-住民「説明足りない」・愛媛(時事ドットコムニュースより引用) 引用先リンク:https://www.jiji.com/jc/article?k=2018071300734&g=oeq (リンク先記事は削除されることもあるため、下記に引用しています。 愛媛県では大雨により増水したダムから大量の放流をしたことが、下流にある肱川の氾濫につながった。行政側は「ダムがなければさらに被害は拡大していた」と説明するが、被災住民からは「事前の説明がない」と憤る声が上がる。情報周知に課題を残した。 鹿野川ダムのある大洲市。ダムから約1.5キロ下流で料理店を営む岩田美保子さん(59)は7日午前7時ごろ、スピーカーから「放流します。川岸に近づかないで」と流れるのを聞いた。放流はいつものことで普段通り過ごしていたが、約1時間後に川からあふれた水が自宅に迫り、慌てて高台に逃げて助かった。「一気に何千トンも流す時はもっと分かるように言って」と憤る。 さらに上流の西予市野村町には野村ダムがある。7日被災した同地区の男性(77)は「朝の時点では何も聞かなかった。いっぺんに放流するからこんな事態になる」。障害のあるおじが浸水した家に取り残されたという女性(53)は「警報を鳴らしても分からない人や聞こえない人がいることも考えて」と訴えた。 何が起きていたのか。二つのダムを管理する国土交通省四国地方整備局によると、鹿野川ダムではこの日、放置すれば決壊する恐れもあったことから、流入量とほぼ同じ量を下流に流す緊急操作を午前7時35分に実施。最大で、安全基準の6倍を超える1秒間に約3700トンの水を放流した。 野村ダムでも午前6時20分から同様の操作を行った。担当者は「放流量を増やすことで川の氾濫は予測できたが、避難を促すのは市の役割。洪水被害の直接の原因は想定外の豪雨だ」と話す。 野村ダムを抱える西予市は午前5時すぎ、防災行政無線で住民に避難指示を発令。その後も複数回行い、避難誘導もしたという。担当者は「最大限の対応はした」と強調する。 一方で、国交省が大洲市の住民向けに緊急速報メールで「河川氾濫の恐れ」と配信したのは、大量放流開始後の午前8時40分だった。 愛媛大防災情報研究センターの矢田部龍一教授は「ダム放流による洪水災害は、住民が自分のことだと認識しているかが問題。流域の学校での防災教育など積極的な取り組みが必要だ。的確な情報発信や伝達に関し、いま一度検討する必要がある」と語った。(2018/07/13-14:25)