トップページに、下記のイワシの写真を紹介しました。

 廃プラスチック汚染にさらされているイワシの一種(出典:一般社団法人環境金融研究機構より)

大西洋の中深海層に住むイワシ類の70%強の体内からマイクロプラスチック検出。アイルランド大学等の若手研究者が突き止める。詳しくは、一般社団法人環境金融研究機構のサイトへ

殆どの人が経験していると思いますが、長い間、屋外に放置していたプラスチック製品は、非常にもろくなっていて、少し衝撃を与えると、壊れるものやすでに、壊れて、バラバラになっているものがあります。プラスチックは、太陽の紫外線に、弱く、劣化して壊れていきます。

洗濯物を干すプラスチック製品、おもちゃ等ののプラスチック製品、ドリンク類のペットボトル、醤油やソースなどの調味料類のプラスチックボトル、レジ袋、ボールペン、包装容器、プラスチック包装紙、身の回りは、プラスチック製品だらけです。プラスチック製品が無ければ、便利な生活は送れないのではないかと思うくらいです。

極論すると、金属製、ガラス・陶器製、木製以外は、オールプラスチックと言っていいほどです。ポイ捨てや不法投棄されたプラスチックは、紫外線で、劣化して、分解し、海に流れたついたものは、波の力で、細粒化していきます。これがいわゆるマイクロプラスチックとなるのです。

海のプラスチックごみの専門サイト「プラスチックの海」によると、

「今日までに大量生産されてきた全てのプラスチック量を推定した調査によれば,現在までにおよそ83億トンにのぼるプラスチックが製造されたとされています(Geyer et al. 2017).2015年までにおよそ63億トンものプラスチックが廃棄物となり,そのうち9%はリサイクルされ,12%は焼却処分されましたが,残りの79%のプラスチックごみは埋め立て処理されたか自然環境へと廃棄されました。」

とありますが、生産量はおおよそ、石油の消費量、石油からの生産物等で、推定できると思いますが、生産量の79%が埋め立て、または、廃棄されたという科学的根拠は、理解できませんが、その量を具体的想像できるような量でないことは確かです。この量を50億トンとすると、世界で一番大きな、総トン数22万8081トン(全長:361.0m 幅:64.9m 高さ:72.0m)の豪華客船「シンフォニー・オブ・ザ・シーズ」の約22,700台分、この豪華客船は、全長361mなので、縦列に並べると、約8,200Kmになります。凡そ、東京から、サンフランシスコまで並びます。

近くで見ると、15階建てのビルのような豪華客船が、東京からサンフランシスコまで。そのごみを広げると、太平洋全部がゴミ(1mmのシート)で覆いつくされるようなものです。わずか1mmと思わないでください。このシートが細粒化して、マイクロプラスチックになったら、数百万個の粒子になるのです。この粒子は、表面から、海面下数百メーターのところまで、分散していると思ったら、目に見えないだけで、マイクロチップの海の中で、魚が泳いでいるようなものです。

埋め立てのゴミはのぞいて、海に入り込むプラスチックのゴミはどのくらいか?おなじ、「プラスチックの海」では、「毎年およそ1230万トンのプラスチックごみが海に入り込んでいるとされています」。生産を始めてから、1230万トンでなく、毎年なのです。

プラスチックごみの記事で下記のサイトがあります。

プラスチックごみの脅威で、具体例が「プラスチックの海」で詳細に説明されています。一読をお勧めします。

この具体例を見て、恐怖を感じない人がいたら、よほど、鈍感な人か、環境変化に気付かず手遅れになって、先に死滅する人種だと思います。

日本窒素のメチル水銀化合物(有機水銀)による水俣病。

手足や口周辺のしびれで始まり,言語障害,視野狭窄,運動障害,聴力障害などの中枢神経系の障害が起こり、重症者は回復がきわめて困難で,死亡者も多数出ました。新日本窒素肥料が有機水銀を水俣湾へ垂れ流しにした。海に流された有機水銀は、希釈されて、薄められますが、水中生物の食物連鎖を経て、魚介類に水中濃度の数十万倍に濃縮され、その濃縮された魚介類を人が食べたのが原因です。

これも、有機水銀に侵された魚を食べて、苦しんで苦しんで、奇形も発生した公害です。魚に奇形が出てきているのに、その奇形に気が付いていつのに、食べた。さらに,母親の胎盤を通過してメチル水銀は胎児へも移行し,生まれた子供にも特異的な症状が発現しました。人間に現象が出る前に、魚の異常、奇形も気が付いていたのですが、原因を調べることなく、多くの魚には、多少の異常も出るもんだと、勝手に解釈して、魚を食べ続けたものです。

マイクロプラスチックのゴミで魚介類に異常がはっきりと出ています。人への、明確な特異な症状はまだ報告されていませんが、その報告は、ごく近い将来のような気がしてなりません。

人間への症状の発現を防止することは、もう手遅れかもしれません。手遅れでないかもしれません。まだ、このマイクロプラスチックの食物連鎖による、人間への明らかな影響の報告は、知りません。

今のうちに、このマイクロプラスチックのゴミの海洋へ入っていくことを止められれば、子供や、孫への悪い影響は、最小限で止められるような気がします。もし、このまま何ら手を打たず、放置して、他人事として、見ているだけでは、水俣病と同じく、海は、怒りをもって人間に襲い掛かってくるような気がします。