深海魚70%に極小プラスチック粒子 人間への影響懸念
2018年(平成30年)7月15日(日曜日) 中日新聞より
深海魚70%に極小プラ粒子 大西洋 人間への影響懸念
世界的な海洋汚染が問題になっているプラスチックの微粒子マイクロプラスチックが、陸地から遠く離れた大西洋の深さ三百~六百メートルにいる深海魚の体内にまで蓄積していることをアイルランド国立大の研究グループが十四日までに突き止めた。検出率は全体の70%超と高く、調査した七種全てから見つかった。 いずれも資源量が多い魚で、マクロやイルカ、海鳥などの餌として海の食物連鎖の中で重要な役割がある。グループは「マイクロプラスチックにはポリ塩化ビフェニール(PCB)な・どの汚染物質が吸着し、高濃度になりやすい。深海の生態系や、魚を食べる人間の健康にも悪影響を与えかねない」と警告した。 グループは二〇一五年四~五月、カナダ東部・ニューファンドランド島の約千二百キロ沖合の大西洋北西部で、体長三絃ほどのハダカイワシの仲間やヘピトカゲギスなど七種、計二百三十三匹の深海魚を捕獲。消化管の中にあるマイクロプラスチックを調べた。 73%に当たる百七十一匹から平均二個程度のマイクロプラスチックが見つかった。最多は十三個と、これまで各国で報告された魚からの検出例に比べて多く、検出率も以前に大西洋で行われた調査の11%よりかなり高かった。 ハダカイワシなどは中層性魚類と呼ぱれ、夜に表層・近くに浮上して餌を取るため、漂っている粒子を体内に取り込みやすいらしい。 マイクロプラスチックは、海に出たごみが細かくなるなどして生じる直径五ミリ以下の粒子。六月の先進七力国首脳会議では、欧州連合とカナダが海のプラスチックごみ削減に向けた数値目標を盛り込んだ文書を採択したが、日本と米国は署名を拒んだ。