「世界のごみ問題 第3弾~人類vs使い捨てプラスチック」と題して放送
2018年9月12日の『未来世紀ジパング』(テレビ東京系、毎週水曜22:00~)
見ました!見ました!結構面白かったですよ。3年前にインドのデリーに行ったときに、街を色々歩き回りましたが、街の真ん中に牛が座っていたり、人ごみの中を歩いていたり、街の雰囲気は同じでしたが、放送の内容ほど汚いところは見たことがありません。
放送の内容は、今年6月、インドのある州で、プラスチック製のレジ袋、ストローなどの“使い捨てプラスチック”の使用が完全に禁止された。地元政府は世界初の“プラスチックGメン”を組織し、取り締まりを強化。街中では大混乱が起きている内容です。
これは、インドのモディ首相は6月5日、2022年までに同国で使い捨てプラスチック用品を廃止すると宣言し、さらに海洋プラスチックごみの防止キャンペーンと、海洋プラスチックごみ量を測定する取組を行うと発表したことにより、インドの各州で取り締まりが始まったものです。タージマハルを含む国家的文化遺産100ヶ所でもごみゼロを目指すというものです。モディ首相が発表した宣言は、世界でも異例に見るほど厳しいもの。使い捨てプラスチック用品には、ペットボトルやプラスチック製食器等、すべての使い捨てプラスチック製品の製造、使用を禁止するというものです。
経済成長中のインドは現在、一人あたりのプラスチック使用量は欧米に比べて少ないのです。米国と比べ10分の1、欧州と比べ6分の1。中国と比べても3分の1程度。しかし、13億人の人口を抱えるインドでは、プラスチック使用総量は多く、今後も急速に拡大すると言われていますが、放送を見ると、何とかしたいので、使い捨てのプラスチック製品の使用禁止を強制的に取り締まっています。
放送では、テレビ東京の写真のように行政幹部でプラスチック製品禁止の責任者の女性を先頭に、男の取締官が街の使い捨てプラスチックの代表のレジ袋を使っている店を取り締まっています。店の中に入り、レジ袋を見つけると罰金を徴収しています。罰金は、5000ルピー(約8000円)。違反を繰り返せば2万5000ルピー(約4万円)と3か月の禁錮刑とのこと。罰金はその場で徴収されています。
取締りの前に放映された映像は、多くの人が、男も女も、大人も子供、すべての人がレジ袋に入ったゴミを、平気で捨てていました。川をまたいでいる橋を渡りながら、ポイとごみを放り投げています。何の抵抗感も、躊躇することもなく、まして罪悪感で周りを見渡して捨てるということではありません。それがみんなの常識のようで、川はゴミ捨て場と思っています。
その結果、川の表面は、ゴミだらけ。ゴミが砂防ダムのように積み上がり、そのゴミの山の下をかろうじて水が流れているという。川というより、ゴミの絨毯のわずかな隙間に水が見えるという状態で、この川に魚は一匹たりとも生きてはいないだろうと思えるほどです。これらのプラスチックのゴミがそのうちに海に流されていきます。このようにプラスチックのゴミでいっぱいの川が世界で何本もあるのです。
日本人であれば、見ただけで、悪寒がする光景。それが日常の光景となっているので、この辺りから常識のレベルの違いを認識しなければなりません。
この現状を何とかしなければという思いから、世界でも最も厳しい法律が作られたと思います。
この取締りの光景は、取締官が突然店に入り、お店のカウンターの引き出しを調べて、レジ袋が入っていれば即罰金の徴収。小さな屋台のオーナーは、罰金を取られて、1か月の利益が吹っ飛んだと嘆いている。花屋さんに入ってレジ袋を見つけて、即罰金。花屋さんは、紙の包装では、水分が保てないので花が死んでしまう。プラスチックの包装が絶対に必要だと力説しても、取締官は聞く耳持たず。情け容赦なく罰金を徴収していく。
ある店では、雑貨屋さんの2階の材料置き場のような場所をいわゆる家宅捜査して大量のレジ袋を発見。レジ袋は持っていかれて罰金の徴収。罰金を払うときに、多少少ない金額を渡したら、徴収官は不足だと言ってきっちり徴収していました。
レジ袋を作っていた会社の社長は、注文が入らなくなってしまったので、従業員を全部解雇して、今後どうしたら良いのか途方に暮れている様子。
使い捨てプラスチック製品の代わりにと言って、ヤシの葉のような大きな葉っぱを集めて、それをプレスして、プラスチックの使い捨てお皿のように加工して売る商売を始めている会社がありましたが、日本人的には、とても使えるほど、きれいでもないし、清潔でもありません。
プラスチックのレジ袋の代わりに「トウモロコシを材料にしてレジ袋」を作って、販売指定が会社も紹介されていましたが、水がかかると溶けやすいことと、価格は10倍のことで、使ったお店の不満は相当なもので、メーカーの社長は、もっと品質の良いものを作りますと言い訳に終始しているくらいなので、なかなか流通には程遠い。
取締り官は、罰金を徴収するのと同時に、使い捨てのプラスチック製品を押収して、持ち帰り、大量のレジ袋を、横流しや再利用を防ぐためと思われるが、カッターでレジ袋を切り刻んでいました。思わず、笑ちゃいました。押収したものは、ほとんどが新品のレジ袋で、リサイクルには、もってこいなのだが、リサイクルも考えない、燃料として使うことも考えない原始的な発想が、インドらしいというかコンピュータのソフトの世界では、インド人がいなければ世界のコンピュータが動かないほどの頭脳明晰なインド人とはとても思えない。
どうも、インド人も、教育の高い人と、低い人のレベルの差は相当のように見受ける。
ここで、少し本質を考えてみると、使い捨てのプラスチック製品の使用禁止を取り締まるというのは、包丁はよく人を傷つけるから包丁の製造や、使用を禁止するということと同じ構図。たばこは人の健康を害するので、製造や使用を禁止するということであればまだ理解可能。お酒を飲むと人は狂暴になったり、自制心を失うので、お酒の製造と使用を禁止するという構図とも同じ。包丁は便利な道具で、人の生活には欠かせないほどの道具です。この包丁を使って傷つけるのは、その状態をつくった人間です。傷つけるのは包丁が悪いのではなく、人間なのです。お酒も同じで、狂暴になるのは、お酒が狂暴になるのではなく、それを飲んだ人間が狂暴になるのです。人間は、お酒に対して自制心が働くなるので、お酒を全面禁止ということの構図は、お酒を飲むすべての人が狂暴になるのであれば、理解できますが、ごく一部の人であれば、そのごく一部の人を、矯正させなければなりません。
インドの場合は、使い捨てプラスチック製品の製造と使用の禁止の前に、ゴミのポイ捨てを禁止を取り締まるべきで、ゴミの回収、焼却のインフラが揃っていないならばそのインフラを早急に整備することが必要なのです。この意味では、日本のゴミ焼却システムは進んでいるので、インドへ進出するチャンスかもしれません。最初は、ODAでゴミ焼却場を建設してあげて、その良さに気が付いたインド政府は、ゴミ焼却プラントを日本へ大量に発注する可能性もあります。日本政府も官民挙げて売り込みをすると、実現が速くなります。
番組の後半に、プラスチックの代替えに、ベンチャー企業や大手の企業が新しい製品を発表してましたが、それはそれで、期待したいのですが、ゴミのポイ捨てを無くさない限り、環境破壊を止めることはできません。シンガポールのゴミのポイ捨て罰金1000ドル(約11万)の方が環境破壊防止には、より合理的と思われます。
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