漂うプラ99%行方不明
2019年2月11日の中日新聞の記事です。
新聞のコピーでは、読みにくいので、以下に文書化します。
漂うプラ99%行方不明
世界の海を漂うブラスチックごみは、流れ出たと推定される量のわずか1%にすぎないという現状が、国内外の研究名の試算で分かってきた。残り99%はどこへ消えたのか。海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)は二O一九年度から深海でのプラごみ調査に乗り出す方針だ。
大きさが五ミリメートル以下に砕けたマイクロブラスチックを検出する技術も開発中で、調査と合わせ謎の解明に役立てる。(増井のぞみ)
多くは深海に堆積か(海洋機構調査へ)
■黒潮で流入
テーブルの上に、色とりどりのプラスチック片が並んだ同機構の研究員の中嶋亮太さんは「湘南海岸で拾いました。プラスチックは、丈夫なことがあだとなって、理論上は何百年も分解されないことが問題なんです」と話す。
分解されないはずのプラごみが行方不明になっている。この問題は、最近数年で明らかになった。
1950年代から現在まで世界で生産されたプラスチックのうち、川などから海に流出した量は、1億5千万トンで、うち4千5百万トンが沿岸から離れて外洋に流出したと推計される。
しかし、海で回収される浮遊プラごみの量から推定すると、外洋に浮いているのは1%に当たる四十四万トンだけという計算になるという。
残り99%はミッシング(行方不明)のプラスチックと呼ばれる。
世界の海のプラごみの約半分は中国や東南アジアなどから出るとされ、黒潮などで日本周辺にも流れ込
む。機構は『日本近海が世界で最もたまりやすい場所。海溝など深海に堆積している可能性が大きい』とみる。
■微細な破片
そこで一九年度から探海のプラごみ調査を始める考えだ。6千メートルより深い海溝やそれより浅いトラフに、有人潜水調査船「しんかい6500」やロボット潜らせ映像を撮り、ごみの堆積状況を調べる。同時に深海の泥や水も探取してマイクロプラスチックも探す。
機構によると、深海へ行くのは難しく、プラごみの研究はほとんど進んでいない。「行方不明の99%は、深海に堆積しているだけでなく、細かくなって海中を漂っている可能性もある」という。
劣化して細かくなるほど海中の有害な化学物質を吸着しやすくなり、生物の体内にも取り込まれやすい。
同機構によると、マイクロプラスチックは、プランクトンをすくう網で集めて顕微鏡で確認しているという。手間と時間がかかり誤差も大きいい。機構は、18年9月からマイクロプラスチックを効率的に検出する技術の開発を始めた。
■生物に影響
プラスチックは材質によって、特定の光を吸収する。光を波長ごとにとらえるカメラで、マイクリプラ
スチックを含む海水を撮影し分析すると、材質や個数、大きさ、形状を一分以内に特定する手法だ。22年度末の完成を目指す。
同機構の海洋生物多様性研究分野長、藤倉克則さんは「行方不明のごみの謎を解き明かすとともに、プラ
スチックの生き物への影響がどのくらいの量になれば危険なのかを見極めたい』と話す。
プラスチックの海岸汚染問題に詳しい東京農工大の高田秀重教授は「海底はマイクロプラスチックの最終的なたまり場と考えられる。私たちも東京湾の泥で確認している。潜るのが難しい深海の調査は重要だ」と語る。
研究者の研究にケチをつける気はありません。もっと早く、人間が投棄したプラスチックがどのようになっているか、そしてどのように生物に影響を与えるのか、科学的に結論を出して説明してほしいものですが、現在も、人がプラスチックごみを投棄していることを、できるだけ早く止めるように警鐘を鳴らす視点がないことが残念です。
上の新聞の掲載された2019年2月11日に私と私の妻が、住宅街の家の周りを1時間ほど歩いて集めたゴミです。
名古屋市の指定ゴミ袋45リッターで2袋、とジュース等のアルミ缶です。数として多いのは、たばこの吸い殻ですが、かさばるのは、レジ袋やお菓子の袋のプラスチック製品が多いのです。このようなゴミが、私の家の周りだけ多いことはありません。日本国中でゴミのポイ捨てがあるのです。1時間ほど歩いた距離は約4Kmです。日本の道路の長さは、約120万kmと言われていますので、単純計算すると、上の写真のゴミの量の約30万倍のゴミが道路の周辺に捨てられて、雨などで流され、そのうちに川から海に流れ込んでいきます。1週間ほどで、またゴミのポイ捨てが出てくるので、1年にするとその52倍。
1時間ほどで集めたゴミの重さを5Kgとすると、日本国内での1年間のポイ捨てゴミの量は、5Kgx30万x52=7800万Kg=7万8千トン
これらのゴミが、最終的に海に流されていけば、研究者が長年かけ、費用をかけ結論が出たころには、時すでに遅いという可能性もあります。海を掃除するわけにはいきません。海の海水を入れ替えるわけにはいきません。生物に影響が出ることが分かってからでは遅いのです。
今すぐにでも、ゴミのポイ捨てはやめるべきです。止めさせるべきなのです。
ゆでガエルの例えがあります。生きたカエルを水の入った鍋に入れて、徐々に、徐々に温め、温度の変化が感じられないほどゆっくりと温度を高くしていくと、カエルはその変化に気が付かず、最後には、ゆであがってしまうという例えです。環境の変わることに鈍感な場合は、最後は、命が絶たれることもあるのです。
いま、ゴミのポイ捨てを止めることに、人間の生活に不都合なことは、全くありません。リスクはないのです。リスクがなくて、将来の懸念を払しょくできるのであれば、すぐにでも、実行すべきなのです。