プラごみ国内再利用強化

規制採択 21年1月までに法整備
中日新聞 2019年5月12日より引用

読みにくいので、記事に起こします。
有害ごみの輸出入を規制するバーゼル条約の対象に汚れたプラスチックごみを加える改正案が十日、ジュネーブで聞かれた締約国会議で採択されたことを受け、日本政府は規制強化に向けた関係省令の改正や具体的な基準作りに着手する。会議で日本代表を務めた環諭告の松沢裕官房審議官は採択後、記者団に「発効される二〇一二年一月までに国内法を整備せねばならない」と述べ「国内リサイクル体制を強化できる」とも強調した。
これまで「リサイクル資源」として輸出してきたプラごみについて「汚れ」の程度により規制できるようになるが、具体的な線引きが今後の焦点となる。
 汚れが軽微で資源として認められれば規制の対象外となる。線引きには、洗浄、分別といったリサイクルの過程の途中にあるものをどう扱うかなどが議論となりそうだ。
 環境省は日本から各国へ輸出されているプラごみの状態や、受け入れ国の処理技術といった実態を調査し基準を決定。特定有害廃棄物の輸出入規制法(バーゼル法)の省令も改正する。
 日本では年間に約九百万トンのプラごみが発生。国内で処理しきれない百万トン以上が東南アジア諸国などに輸出されてきたが、近年、各国は輸入規制に動いている。このため国内では処理が追い付かず、一時保管所に山積みになっているところもある。
 環境省は最新のリサイクル設備に補助金を出すなどをしているが、支援策の拡充を検討する。
 また松沢氏は締約国会議で演説し、条約改正で国際社会は「問題のあるプラごみを規制する手段を手に入れた」と指摘、今後は締約国の条約履行が重要になるとの認識を示した。

バーゼル条約締約国会議で採択された条約改正のポイント
●条約が人体や環境に有害と定める廃葉物としてプラスチックごみを加える
●プラごみの輸出には相手国の同意が必要
●締約国はプラごみの発生を最小限に抑え、できるだけ国内で処分せねばならない
●条約改正は2021年1月1日に発効

この記事で、「日本では年間に約九百万トンのプラごみが発生。国内で処理しきれない百万トン以上が東南アジア諸国などに輸出されてきたが、近年、各国は輸入規制に動いている。」とありますが、この種の記事は、具体的な部分は、フォーカスして、説明しています。

詳細に説明しますと、日本では、年間約九万トンのプラゴミが発生して、約百三十万トンを中国に資源ごみとして、売却していました。中国は、資源として、分別し、リサイクルしていましたが、リサイクルできない分は、焼却していました。中国では、元々、大気汚染の問題があります。中国の大都会は、晴天でも、青空が見えないほどの灰色の空です。これは、エネルギー源として、石炭を多く使っているからです。北京オリンピックの時は、工場に操業停止をさせて、工場の活動を一切禁止しました。その結果、青空が戻ってきて、オリンピックの時は、大気汚染の悪評を世界から受けることを回避できたのです。ところが、オリンピックが終わると元の木阿弥。特に重工業地帯の重慶の大気汚染は、日本での、四日市公害と同じ程度と言っても良いでしょう。そのために、中国では、肺がんの発生が非常に多いのです。この事実は、公表されていませんが、肺がん治療薬が飛ぶように売れています。
 中国は、日本からだけでなく、世界からプラスチックごみを買い入れてきました。輸入されたプラスチックごみは、汚れていないリサイクルできるものばかりではありません。どちらかと言えば、自分の国では、リサイクルできない汚れたものが多いのです。取引が、重量で決まるために、プラスチックごみに、汚れたものばかりでなく、他の有害物質を混入させることも多いのです。それでも、お金になるのであれば、中国も受け入れを継続していたはずですが、中国自身も経済発展して、自分の国でも多くのプラスチックごみが発生します。その処理もしなければなりません。加えて、分別しにくいプラスチックごみを世界より安く買い入れて、経済発展した国で、処理するには、採算が合いません。加えて、大気汚染の重大な問題があります。
このような理由で、2017年7月に中国政府は「輸入廃棄物管理目録」を改正しました。これにより、生活由来の廃プラスチックや未分別の紙くずや繊維くずの輸入が制限され、2018年1月から中国へ資源ごみを輸出できなくなりなりました。

当然、世界はプラスチックごみの処理に困ります。フィリッピンに持ち込んだり、実は、フィリッピンは、香港のプラスチックごみを受け入れてましたが、これも、禁止する方向にあります。一部は、アフリカの環境汚染よりも、目先のお金が欲しくて受け入れている国もありますが、大量に受け入れることもできません。

世界の取り組みとしては、バーゼル条約で規制していくしか方法がありません。しかしこのバーゼル条約の趣旨は、プラスチックごみのリサイクル化、自国での処理をして、有害ごみ、プラスチックごみの輸出入を禁止しようとするものです。
ここで、問題提起したいのは、プラスチックのリサイクルは良しとして、焼却処分はできないかということです。
今までは、プラスチックごみを焼却すると、焼却炉が傷むとか、ダイオキシンが発生するので、市町村の焼却炉では、焼却できないという通説があります。

しかし、市町村のごみ処理場では、生ごみは、そのままでは、焼却できないので、重油を投入して強制的に焼却しています。そして、一部のゴミ処理場では、発電したり、お湯を作り、温泉プールを営んでいるところもあります。
プラスチックも元々の原料は重油です。
重油から、精製されて、プラスチックや、いろいろな化成品ができていて、重油と、プラスチックごみの燃焼形態を異なるかもしれませんが、今の技術をしてみると、温度制御や、冷却能力により、焼却炉の窯を痛めないように、かつ、ダイオキシンが出ないようにすることはできないのでしょうか?

市町村の大型焼却炉ではありませんが、小規模の焼却炉に下記のようなメーカーがあります。

廃プラ対応進化形モデル
このカタログによれば、プラスチックの焼却が可能とあります。さほど大きなシステムでもありません。冷却装置が付いているとも思えません。このような設備でもプラスチックごみの焼却ができるのであれば、国としても評価して、間違いのないものであれば、積極的に導入を図るべきだと思うのです。

埼玉県環境科学国際センターでは、ダイオキシンについて下記の説明があります。

廃棄物焼却炉から環境中への排出

ゴミを燃やすと難分解性で有毒な環境汚染物質である「ダイオキシン」ができることはよく知られています。この「ダイオキシン」は,ジベンゾパラジオキシン,ジベンゾフラン,ビフェニルという3つの化合物に塩素が結合した化合物群の総称です。塩素の数や結合する位置によって200種以上の化合物が存在します。単一の化合物でないことを明示するためにしばしば「ダイオキシン類」といわれます。ダイオキシン類は,化合物により毒性が異なるため,最も毒性の強い化合物の毒性にそれぞれ換算して合計した毒性等量(TEQ)で環境基準や排出基準と比較します。

埼玉県内で1年間に環境中に排出されたダイオキシン類の量(TEQ)は,平成9年度では338g-TEQでしたが,年々減少して平成14年度には平成9年度の9割以上の削減を達成し,以降その状態を維持し続けています。平成22年度では平成9年度比97%減の9.0g-TEQとなりました。環境中に排出されるダイオキシン類のほぼ100%が大気中へと排出されたものです。このうち,小型焼却炉,民間廃棄物焼却施設,市町村等ごみ焼却施設が85%を占め,廃棄物焼却を起源とするダイオキシン類が高い割合で排出されていることがわかります。

また、

ダイオキシンの生成と排ガスからの除去

廃棄物焼却炉は,焼却物を完全燃焼させるために800℃以上で焼却することが義務づけられています。それは,このような高温で焼却を行えば,ダイオキシン類でも分解するからです。しかし,このような焼却で発生したガスでも,冷却する過程においてダイオキシン類が生成してしまうことが知られています。この生成反応はデノボ合成と呼ばれています。

デノボ合成は,燃焼温度よりも低い300~500℃程度で進行することが知られています。また,200℃以下では,デノボ合成はほとんど進行しないと考えられています。したがって,800℃以上の高温で完全燃焼してできた燃焼ガスがゆっくり冷えていくとデノボ合成は進行してダイオキシン類の生成量は増加すると考えられています。デノボ合成によるダイオキシン類の生成を抑えるためには,燃焼ガスが300~500℃で滞留する時間をできる限り短くするように,速やかに冷却することが効果的と考えられています。また,デノボ合成によるダイオキシン類の生成を抑制するためには,廃棄物中の塩素の量を少なくすることも効果があると考えられています。なお,1時間あたり100kg以上焼却する焼却炉には冷却設備を設置することが義務づけられています。焼却炉から排出される焼却ガスは気体成分と固体成分(ばいじん)で構成されていて,ダイオキシン類はその両方に存在しています。そこで,より効果的にダイオキシン類の排出を抑制するために,原則1時間あたり30kg以上焼却する焼却炉には,ばいじんの除去を行うための機能を有するばい煙処理設備を設置することが義務づけられています。

ダイオキシン類の環境への排出量が大幅に削減されてきたことは,はじめに述べたとおりですが,これは,県民や関係事業者の協力により総合的なダイオキシン類対策に取り組んできた結果です。しかし,新たに発生するダイオキシン類の多くは,廃棄物の焼却が原因となっています。焼却する廃棄物を減らすことがダイオキシン類の排出量を削減することにつながるのです。

埼玉県環境科学国際センターの記事を見ると、プラスチックごみの焼却が、技術的に可能と言う説明です。いままでの通説で、プラスチックごみの焼却は、不可能ということが覆されてきているような感じです。
この判断も私には、科学的に間違いないという知識がありません。専門家が今だから、その知識で、プラスチックごみの焼却について、常識と言えるような説明を積極的にする必要がると思います。

プラスチックごみの焼却について、情報の真偽は確認していませんが、下記の記事があります。

【驚き】環境省が「プラスチックごみ」の焼却要請へ!廃プラ規制で処理が追い付かず プラスチック分別に意味無し?

中国などがプラスチックごみ(廃プラ)の輸入を制限したことで日本国内の廃プラの処理が追い付いていないことから、環境省は廃プラの焼却処分の地方自治体に要請すると発表しました。

報道記事によると、環境省は緊急措置として焼却炉などで家庭ごみの処理を担う市区町村に対し、企業など事業者が出す産業廃棄物の廃プラも受け入れるよう要請する方向で調整しているとのことです。
全国で排出される廃プラは年間約900万トンあり、今までその大半をリサイクル資源として中国が受け入れていました。

しかしながら、2017年末に中国などが廃プラの輸入を禁止したことから、日本国内で行き場を失った廃プラが増大。廃棄物の国際的な移動を規制するバーゼル条約の締約国会議でも規制案が発表され、遂に日本政府が廃プラの焼却処分を要請した形です。

今まではリサイクルや環境保全の一環としてゴミの分別が促されていましたが、実際には全くのデタラメで、ゴミの分別に環境保全の効果はありませんでした。いわゆるリサイクル利権として動いていた面が大きく、国際情勢の変化によって止むを得ず、政府としてこのような方針転換を発表した形です。

 

廃プラ、産廃も焼却要請へ 環境省、市区町村に 全体の8割占める
https://mainichi.jp/articles/20190516/k00/00m/010/010000c

国内で処理が追いつかなくなっているプラスチックごみ(廃プラ)について、環境省は、焼却炉などで家庭ごみの処理を担う市区町村に対し、企業など事業者が出す産業廃棄物の廃プラも受け入れるよう要請する方針を固めた。関係者への取材で判明した。緊急措置として一定期間の受け入れを求め、応じた自治体への財政支援などを検討する。都道府県や政令市に近く通知を出す。

これらの記事から、いままでのプラスチックの焼却処分は、焼却炉を破壊し、環境を破壊するという通説は、根拠が薄くなり、プラスチックの分別がリサイクルに協力することであり、環境にやさしい行為という行政指導が疑わしくなり、なにか、リサイクルに関わる、利権がらみの誘導の臭いもしてきます。

いずれにしても、私たちは、プラスチックごみの自然への投棄、海への漂着を何としても止めなければならないことには、疑う余地はありません。そして、このために、ゴミの不法投棄は、勿論のこと、日常でのごみのポイ捨ては、絶対にやめなければなりません。

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