微小プラ 日本人は年13万個にも

魚介類食べて人体へ

海に投棄されたプラスチックごみが、年月と共に、潮や太陽の紫外線に風化されてマイクロプラスチックとなって、大きな環境問題となっていることは、かなり知れ渡ってきました。

令和3年の年初の日本のニュースでは、深海の探査艇「しんかい6000」では、海面下、6000メートルの海底にプラスチックごみが沈殿していたことを発見したということです。

また、BBCニュースでは、「1万メートル超の深海にプラスチックごみ」という記事もあります。

1万メートル超の深海にプラスチックごみ 潜水の新記録達成の探検家が発見

引用元:世界中で問題になっている海洋汚染が、1万メートル超の深海にまで拡大していることが分かった。アメリカ人の海底探検家が太平洋のマリアナ海溝で1日、水深1万1000メートル近くまでの潜水に世界で初めて成功した際、海底に沈むプラスチックごみを発見した。

 

潜水で世界新記録を達成したのは、ヴィクター・ヴェスコヴォ氏(53)。

深海の水圧に耐えられるよう設計された潜水艇を使い、4時間かけてマリアナ海溝の底を探査したところ、海洋生物のほかにビニール袋やお菓子の包み紙を発見した。

このように、深海までプラスチックごみが拡散して、じわじわと環境を破壊していることは気が付いていますが、日本での取り組みは、レジ袋の有料化を実施して、その次に、プラスチックスプーンの有料化を検討している程度です。レストランで使ったプラスチックスプーンがレストランで、回収されなくて、海に投棄されているとでも、環境省は、考えているのでしょうか?

プラスチックごみが海に流れ込むメカニズムは、日本では、大量投棄でなくて、街のあちこちで、人々のポイ捨てのゴミが、川や、海辺でのキャンプでのポイ捨てが、海に流れ込むのが最大の原因ですが、残念なことにそれを指摘するメディアも学者も多くありません。

また、マイクロプラスチックが魚にどんな影響を与えているか、その影響が食物連鎖を通して人間にどのような影響を与えるのかも、現在は明らかではありません。

この影響を示唆する記事があったので紹介したいと思います。(2021年4月4日 中日新聞より)

プラスチックごみなどが壊れてできる5ミリ以下の微小なマイクロプラスチックが世界各地の魚介類に含まれていたとの調査結果を、英ハル大などのチームがまとめた。人間は食事を通じて一人当たり年間五万個を超える微小プラを摂取している恐れがある。シーフードを好んで食べる日本の摂取量は世界平均よりも多く最大十三万個に及びと推定。

専門家は、「人の健康への影響を評価すべきだ」と指摘している。

2014年から20年までに各国で発表された五十の科学論文の内容を分析した。含まれる微小プラの量が最も多かったシーフードは中国で売られていた二枚貝で、アジア諸国の貝類は多い傾向があった。海が微小プラで汚染されている現状を反映していたとみられる。

チームは、貝類などの軟体動物のほか、エビなどの甲殻類や魚類が体内に取り込み、残留した微小プラの量や地域差を調べた。微小プラを確認したとの報告は、貝類が最も多く、濃度が最も高かった中国のサルボウガイでは一グラム当たり10.5個見つかった。甲殻類では、最大8.6個、魚では同2.9個だった。

日本の東京湾で捕れたカタクチイワシからも一匹当たり2.2個見つかったとしている。

国連食糧農業機構(FAO)による魚介類消費量のデータを基に、人間一人が摂取する量の世界平均は年間最大五万四千個に登ると推定。国や地域別ではマカオや香港、韓国、中国本土のほか、ノルウェイーやスペインの摂取が多いとしている。日本の摂取量はこれらの国と比べると少ないが、推定で最大13万個と世界平均を大きく上回った。

チームは「摂取による人体への影響は未解明だが、安全だという証拠もない」として「予防原則に基づき食品からの摂取量を減らす対策をとるべきだ」と結論付けた。分析結果は米国立衛生研究所(NIH)の専門誌に発表した。

なるほど、学者はきちんと調査しているなと感動する一方で、学者という職業は、気楽な稼業と思うこともあります。「予防原則に基づき食品からの摂取量を減らす対策をとるべきだ」と結論付けた。と言われても、現実の社会を生きている、一般の人間は、どうしていいかわかりません。予防原則に基づき、魚介類を食べるなということは言うにたやすく行うに難しいのです。ハッキリ言って、現実的ではないのです。

現実の社会を生きている私たち日本人に、魚介類を摂取しないで、ベジタリアンになれと言っても簡単になれるわけでもありません。魚介類を摂取するときは、はらわたは食べない。貝類は出汁にして使うか、丁寧に洗って食べるぐらいの注意をする必要があるということが現実的な対策と思うのです。

最近は、妊婦さんの子宮の壁からマイクロプラスチックが検出されたとの記事もありました。このことが、赤ちゃんにどのような影響を与えるかは専門家の研究を待たなければなりませんが、私たちが今すぐにもできることは、ポイ捨てゴミを回収し、ゴミのポイ捨てを止めることです。

 

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